コインの表と裏

上の10円玉、どちらが表でしょうか。 左が表なのですが、多くの人は右が表だと勘違いしています。 大きな数字の「10」が表に見えるのでしょう。 他の額面のコインについても同様です。 誰も間違えないのは5円玉だけです。
どうして、地味なデザインの方が表なのでしょうか。 理由は単純です。 そちらを表と決めているからです。 発行年があるのが裏面という、原則があるようですが、それとて決まりではありません。
明治6〜38年発行「竜50銭銀貨」
明治39〜大正6年発行「旭日50銭銀貨」

右の二つは、明治時代に盛んに利用された50銭銀貨です。
どちらも左側が表、右側が裏です。
最初のデザインの竜は、天皇の顔を「竜顔」と呼ぶことにちなむもので、こちらが表になることは理解できます。 しかし、その後のデザイン変更で竜が旭日に変わると、それが裏面になってしまいました。 理由は判然としません。


スイスの10サンチーム白銅貨
ところで、外国の人は現在の日本コインの表と裏をあまり間違えません。 外国のコインの表面には、神、国王、大統領などの顔があり、裏面に大きな額面数字があるのが多いからです。 つまり、大きな数字のある方が裏なのです。

英語では、コインの表と裏を何と表現するのか、調べてみました。 場面によって、いろいろな表現があるようです。
Obverse - Reverse コイン関係の書物では、この表現が多いようです。
Face - Back 中国語での表記方法の「面」と「背」に似ています。
Head - Tail 頭と尾、日常会話ではこの言い方が多いのかなと思います。
Front - Back コイントスの時は、この言い方もするようです。
Recto - Verso ラテン語由来の言葉で、本来は紙の表と裏とを指す用語です。
なお、ユーロコインでは、表・裏と表現せず、各国独自の面を National Side、共通の面を Common Side と呼んでいます。

(日本コインの画像は、『日本貨幣カタログ』を利用しました。)

 2019.10.21