スラブ入りコイン

最近、某オークションで中世ヨーロッパの小さな銀貨を入手した。 直径11ミリの小さなコインである。
小さなコインではあるが、送られてきたのは大きくて頑丈そうなケースの中に入っている。
コイン収集歴は数十年になるが、スラブ入りコインを入手したのはこれが初めてである。
ケースの大きさは、86×60×10ミリ、重さ44.2グラム もある。
非常にかさばるし、何しろ中のコインを手に触れて鑑賞することができない。
簡単に取り出せるものと思っていたが、どうやっても取り出せない。

そこで「スラブ」という物を調べてみた。

スラブ(slab)とは、"厚い板"を意味する。
コインをこのような厚い板に押し込めることを考えついたのはアメリカ人のようである。
売り手でも買い手でもない第三者が鑑定して、品物の真贋とグレードを保証し、コインの損傷と劣化を防ぐのが大きな目的である。
現在スラブを発行する会社は数社あるが、1987年設立のNGC社(Numismatic Guaranty Corporation)と、1985年に設立されたPCGS社(Professional Coin Grading Service)が有名である。 上の画像はNGC社のもの。

私にとって、コインは歴史的な遺産である。 数百年も風土にさらされたものだから、今更劣化など気にならない。 狭い我が家で場所をとるのも困る。 何よりも、一つ一つ手にとって、このコインが使われていた時代を想像し、じっくり鑑賞したい。 
しかし、この頑強な舗装はそれを頑なに拒んでいる。
スラブからの取り出し方を解説しているサイトがいくつかあった。 どの方法も、トンカチかペンチでスラブを破壊してしまう方法である。
世界には私と同じ思いの人がいた、とほっとしている。
遂にたまらず・・・ 2018.11.25
2017.3.22