「中国古代の貨幣」展〜東京国立博物館
上野の東京国立博物館で「中国古代の貨幣」が特集展示されています。 期間は2008年12月2日から2009年3月1日までの3か月間です。
主な展示品は、
布幣 約70点
刀幣、円銭、蟻鼻銭 約50点
秦漢新代の貨幣 約20点
参考銭(貝貨、馨幣など) 約20点
石笵、銅笵、陶笵 12点
などです
●空首布
陳列棚は4つありますが、最初の棚には、空首布が20点ほど並べられています。(ブラウン色の文字は、展示物の解説文です)
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春秋・戦国時代に周王朝が存続した、現在の河南省洛陽市一帯で多く発見されています。銘文は都市の名前のようですが、一部を除き、学者の説が分かれています。
興味深いのは、胸の部分に刻まれた文字です。右の空首布には「武」の文字がありますが、なんともいえない趣があります。
他の空首布にも「商」、「是」、「成」などの文字が、右胸か左胸に刻まれています。どの文字にも3000年の歴史の長さを感じます。
●方足布の石笵
貨幣だけではなく、貨幣を作ったときの道具、石笵・銅笵・陶笵があわせて12点展示されています。
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中国古代の銅貨はみな鋳造品です。まず鋳型を作り、そこに溶けた青銅を流し込んで製品(銅貨)を作りました。
前2世紀頃までは石製の鋳型が多く用いられました。
前1世紀ころからは、青銅製の鋳型が使われるようになりました。青銅製のほうが石製より耐久性に優れていたものと思われます。
後1世紀になると、まず青銅製の型を作り、これに土を詰めてかたどりしたものを焼いて土製の鋳型とし、この土製の鋳型を積み重ねて一度に大量の銅貨を鋳造するようになりました。こうした技術は、貨幣改革を繰り返した王莽の時代に登場したようです。
前100頃から後20年頃までの100年あまりの間に技術が急速に進歩したことは、この時期に大量の貨幣を鋳造する必要に迫られていたことを物語っています。
その中で目をひくのが方足布(銘は「匋陽」か?)の石笵です。大きな湯道があります。古代人の苦労と工夫が伝わってくるようです。
●藕心銭(ぐうしんせん)
「参考資料」というコーナーがあります。 そこには、「(骨製の)貝貨」と、「馨幣」と、そして右の「藕心銭」が展示されています。
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藕心銭(ぐうしんせん)も以前の学者が貨幣と考えた青銅製品です。蓮、心は中心部という意味で、ご覧の通り蓮根(れんこん)を切ったような形をしています。これが古代中国の貨幣である確証はまだ得られていません。
「藕」は蓮根のことで、「藕心銭」は蓮根を切った切り口に似ているための名称です。貨幣としては不可解な形ですし、貨幣でないとするといったい何なんだろう・・・と首を傾げます。こんなもの、私は初めて知り、初めて見ました。
2008.12.5