シルクロードで運ばれた絹の値段
古代、シルクロードで運ばれた東洋の絹が、西洋に届くと何倍くらいの値段になったかを考えてみました。
紀元前1世紀の司馬遷の「史記貨殖列伝」、紀元301年のローマ皇帝ディオクレティアヌス帝の「最高価格令」などから、漢とローマの物価を垣間見てみます。
国
絹の値段
穀物の値段
労働者の賃金
銅貨の重さ
漢帝国
(紀元前1世紀)
1鈞(7.8キロ)の白絹
1000銭
1鐘(124リットル)の穀物
1000銭
労働者1日の賃金
20銭
五銖銭(1銭)
3.2グラム
ローマ帝国
(紀元301年)
1ポンド(328グラム)の白い絹
1.2万デナリウス
1軍用モディウス(12リットル)の小麦
100デナリウス
農場労働者の1日の賃金
25デナリウス
フォレス銅貨(5デナリウス)
9.5g
漢の五銖銭
宣帝(BC74〜49)
3.2g 25.5mm
1枚が1銭です
ローマ帝国のフォレス銅貨
ディオクレティアヌス帝(284-305)
9.5g 28.0mm
1枚が5デナリウスです
司馬遷の「史記貨殖列伝」は、かなりアバウトな数字です。
ディオクレティアヌス帝の「最高価格令」は、物価高騰を抑えるための上限値です。
ともに、実勢価格を正確に反映しているとは限りませんが、一応の目安にはなると思います。
これらから計算すると、絹1キロの値段を穀物の量で比較すると
○漢では16リットル、ローマでは4500リットルで、281倍
労賃で比較すると、
○漢では6.4日分、ローマでは1500日分で、234倍
銅貨の重さで比較すると、
○漢では410グラム、ローマでは70000グラムで、170倍
になり、いずれも200倍前後になっています。
シルクロードは過酷な道です。自然は厳しく、盗賊も多かったでしょう。500キロ運ぶごとに商品の値段が1.25倍になるとすると、1.2万キロ運ぶと200倍になります。200倍という数字は、さほど不思議な数字ではないと考えます。
2007.7.26 2018.4.1改訂