近世ドイツの小銅貨

アウグスブルク発行
1Heller銅貨

167?年発行

0.6g 11mm
同上

1741年発行

0.4g 11mm

キラキラ光る金貨やずしりと重い大型銀貨は素晴らしいコインですが、小さな銅貨もまた愛らしものです。
上の2枚のコインは、17〜18世紀にドイツ南部のアウグスブルクで発行された1ヘラー・コインです。
表にはこの都市のシンボルマークの可愛らしい”松かさ”がデザインされています。
1円玉よりも軽くて小さなコインですが、ちゃんと発行年も刻まれています。

アウグスブルクは、ローマ初代皇帝アウグスツスが建設したドイツ最古の都市です。 中世も、神聖ローマ帝国内の自由都市として、経済文化が栄えていました。 フッガー家はこの都市を代表する富豪者です。
しかし近世には、30年戦争やスペイン継承戦争の戦火に見舞われました。 上のコインはそのころのものです。

1ヘラーは、ドイツ共通の貨幣単位ターラーの960分の1。 「ヨーロッパの近世」によると、1ターラーは、現在の2〜3万円程度。 すると、上のコインは現在の20〜30円程度になります。
10円玉の10分の1くらいの重さですが、当時の人たちにとってはもっと価値あるコインだったようです。

1805年、アウグスブルクはナポレオンの侵攻とともに、独立した自由都市の地位を失いました。

  2013.4.22