明治のニセ金
本物の5銭白銅貨
明治26年
4.7g
ニセ物の5銭白銅貨
明治22年
4.4g
左ニセ金、右本物
明治22年、明治政府は新しい5銭硬貨を発行しました。 これまでの銀貨に代わって、日本では初めての白銅貨(銅750、ニッケル250、現在の100円・50円硬貨と同じ材質です)です。 通称「菊5銭白銅貨」とよばれています。
ところが、この硬貨に、さっそくニセ金が出現しました。
やや軽く、菊の紋章にやや雑なところがあります。 また周囲の”馬の歯”が乱れており、「銭」の文字が稚拙です。
本物と比較すると一目瞭然なのですが、たくさんの中に混ざっていてもすぐには気付かないくらいのできばえです。
この当時、白米1升10銭、大工さんの賃金が1日50銭でした。 私たちの感覚では、5銭は1000円前後でしょうか。
ところで、この(本物の)5銭白銅貨には、エピソードがあります。
まず、この硬貨は、明治以降では、日本人だけで製造された最初の硬貨です。 明治政府は、紙幣の製造はドイツやアメリカに発注し、硬貨の製造はイギリス人たちの指導のもとで行いました。 明治22年になって、やっと日本人だけで製造したのがこの5銭白銅貨です。
次に、この硬貨の天地は表と裏が180度逆転しています。 普通、日本の硬貨の天地は一致しています。 ヨーロッパの硬貨では、180度回転しています。 日本の硬貨で180度回転しているのは、これだけでしょう。
2012.6.12