ベネベント公国

ベネベント公国のトレミシス金貨
765〜775年
1.2g 15.8mm
800年ころのイタリア周辺

古代が中世に移ろうとしていた頃、西ヨーロッパには多くの国が興り、滅びました。
イタリア半島に限っても、次のようにめまぐるしく支配民族が変わっています。
  476年 西ローマ帝国滅び、「オドアケルの王国」となる。
  493年 テオドリックの「東ゴート王国」となる。
  553年 「東ローマ帝国」のユスティニアヌス大帝がイタリア半島を占領。
  568年 ランゴバルド族の「ロンバルディア王国」となる。

774年、「フランク王国」のカール大帝がイタリア半島を侵略し、ロンバルディア王国を滅ぼしました。 このとき、ロンバルディア王国の南部の領主だったベネベント公のArechis2世が、カール大帝より"Principi"の称号で「公国」の存続を許されました。 (しかしそのため、フランク王国へ毎年7000ソリダスの年貢を支払う義務が生じました。)
上のコインは、このArechis2世が発行した「トレミシス金貨」です。 「トレミシス」は「ソリダス」の3分の1を意味します。 コインの様式はビザンチン帝国の様式にならっています。 表の人物はビザンチン皇帝の像です。

この公国はその後も「フランク王国」と「ビザンチン帝国」のはざまで約300年存続しましたが、1077年にノルマン人の「ナポリ王国」に滅ぼされました。

  2010.7.17