古代ローマの記念コイン

ローマ共和国のデナリウス銀貨  紀元前58年発行
表:ラクダのそばでひざまづいているナバテア王アレタス3世。
  上部に M SCAVR AED CVR、中央に EX SC、下部に REX ARETAS
  (刻印がずれているため、上部の文字はみえない)
裏:戦車に乗るユピテル。
  上部に P HVPSAEVS AED CVR、下部に C HVPSAE COS PREIVE、右に CAPTV
径17〜18mm 3.9g

「デナリウス銀貨」は、西暦紀元をはさんで400年間以上ローマ共和国とローマ帝国のもっとも標準的だったコインです。
ローマ庶民の1日の生活費はこの銀貨2〜3枚だったそうですから、この銀貨の価値を想像してください。
ローマ共和国では、毎年3名の造幣責任者が任命されました。彼らはコインのデザインを自分で決めることができました。
紀元前58年の責任者にスカウルスという人がいました。彼は紀元前62年にナバテア王アレタス3世がローマに降伏したときの、王に直接対応した当事者でした。
スカウルスは、国家の記念のためか、自分の経験の記念のためか、このときの情景をコインにデザインしたのです。
(「ナバテア(ナバタ)王国」は、紀元前2世紀から紀元3世紀ころにアラビアで栄えていた隊商国家です。首都ペトラは、岩で囲まれた古代都市の遺跡として、世界遺産となっています。)

2009.2.15