大陸紙幣

4ドル札 1776年 90×70mm

 アメリカがイギリスの植民地だったころ、独自の貨幣はなく、イギリスやスペインの貨幣を使用していました。
 イギリスに対して独立戦争を始めたとき、膨大な軍費をまかなうため、紙幣を発行せざるをえませんでした。
 この紙幣は ”Continental ”(大陸紙幣)と呼ばれました。
 上の紙幣には、次のような説明文が書かれています。
THIS Bill of Four Dollars, shall entitle
the Bearer hereof to recieve Gold or Silver, at
the Rate of Four Shilling and Six-pence Sterling per
Dollar for the said Bill, according to a Resolve of
the CONVENTION of Maryland, held at the City of
ANNAPOLIS, the 14th Day of August 1776.
[拙訳]
この4ドル紙幣は、
1776年8月14日にアナポリス市にて開かれた
メリーランド会議の決議により、
この紙幣持参人に1ドルあたり4シリング6ペンスの割合で
金または銀を受け取る権利を与える。

 当初は好評だったのですが、戦費の増大とともに乱発され、しだいに価値が下落しました。
 ”紙幣の受領を拒否するものは敵対行為とみなす”、との法律がつくられましたが、インフレーションはおさまりませんでした。
 スーツ1着が何と100万ドルもするようになりました。
 全く値打ちがないことを、”not worth a Continental ”という表現もできました。

通貨供給量1ドル紙幣の価値できごと
1775 1200万ドル 1ドル 4.19 独立戦争始まる
1776 1900万ドル 7.4 独立宣言
1777 2200万ドル 25セント
1778 6400万ドル
1779 1億2500万ドル 1セント以下
1780
1781 10.17 ヨークタウンの戦い。独立戦争事実上終結。

 下の4枚はこのころ発行された紙幣です(冒頭の紙幣は当時のものですが、下のはすべてイミテーションです)。いずれも70〜100mm程度の大きさです。
10ポンド 1771年
ニューヨーク
20シリング 1776年
ロードアイランド
1シリング 1777年
デラウェア
20ドル 1778年
フィラデルフィア

参考文献 : G.E.グリフィン著、吉田利子訳、「マネーを生みだす怪物」、草思社、2005
2007.11.8