「風と共に去りぬ」の紙幣

アメリカ南部同盟の10ドル紙幣 1864年発行 179mm×76mm

アメリカ南北戦争が始まると、南部同盟(The Confederate States of America)では独自の紙幣を発行しました。南部優勢の頃は、この紙幣もそれなりの価値で通用していました。
■スカーレットはカウンターにひじをつき、うわずった笑い声を立てながら、大ぜいの人が演奏台のあたりにひしめいているのを、燃えるようなまなざしでみつめていた。人々は手に手に、南部同盟の紙幣をいっぱい握っていた。

しかし、戦争も終盤になり、南部の劣勢が明らかになると、南部の紙幣の価値はだんだん下落してゆきました。
■レットが、ついに彼自身にたいする最後の追放令状に署名したとも見るべき行為は、回復期にある傷病兵のための銀貨音楽会が、エルシング夫人の屋敷で開かれたとき行われた。 (中略)
それだけでもこの催しはじゅうぶん成功したのである。というのは、いまでは銀貨の一ドルといえば、南部同盟の紙幣の六十ドルに相当していたからだ。

上の紙幣は1864年2月に首都リッチモンドにて発行されたものです。 南北戦争が終結したのは翌1865年4月のことです。
ミッチェル作、大久保康雄・竹内道之助訳、「風と共に去りぬ」、河出世界文学全集、1989
2007.7.8