北欧帝国

クヌート大王の1ペニー銀貨
表:四葉飾りの中に王冠をつけた王の像。
  周囲にカヌート(CNVT)、王(REX)、アングロサクソン(ANGLOX)。
裏:四葉飾りの上に二重十字架。
  周囲にミント地と鋳造者名。(XO_ NLE NLV NED)
19.0mm 1.2g

  中世の一時期、北ヨーロッパに一大帝国が出現したことがあります。
  デンマーク王の次男に生まれたクヌート(クヌーズKnud、カヌートCanute)は、1016年父王とともにイングランドを征服します。 父王が病死すると、イングランド王になります。 このとき、まだ16歳でした。
  1018年、デンマーク王だった兄が死去すると、デンマーク王を兼ねます。
  さらに1028年、ノルウェーを征服し、ここにイングランド・デンマーク・ノルウェーを統治する大帝国が出現し、クヌートは「大王」の称号で呼ばれるようになりました。
  その頃イングランドでは、デーン人(デンマークのバイキング)の侵略を防ぐため、毎年デーンゲルトと呼ばれる平和の代償金を納めていました。 多いときで、7.2万ポンドといいますから、ペニー銀貨1700万枚分です。
  大王は、これを恒常的な税とし、それを元に盛んにペニー銀貨を発行し、常備軍兵士の給与と退職金としました。

  大王は、各地で転戦し、またローマで行われた神聖ローマ帝国の戴冠式に出席したりして、デンマーク本国に留まることは少なかったそうです。
  1035年、大王の死とともに、この大帝国は崩壊しました。

  2014年12月、イングランド南部の内陸部の農村で、地下60cmのところから、鉛のシートに包まれた大量の銀貨が発見されました。 非常に状態のいい5200枚の銀貨でした。 そしてこの中には大量のクヌート大王の銀貨も含まれていました。

2007.3.1  2018.4.8 追記