叶手元祐通宝



  中世、中国から渡来する銭だけでは不足したため、日本でも各地で中国の銭を模した銭が発行されていました。
  「叶手元祐通宝」と通称されている一群もそのような銭で、九州で発行されたものです。 鉄分を含むため、磁性があります。
  表面の銘は宋の元祐通宝と同じですが、日本独特の書体です。 また裏面には独特の文字が書かれています。
  上の元祐通宝には、左に「口」、右に「十」があり、あわせて「叶」の文字に見立てられます。 左はキリスト教の聖杯、右は十字架とも見えます。
  島原の乱のあった原城跡からも発見されたそうです。
  豊後府内は大友宗麟の影響でキリスト教が盛んだったところで、この銭も豊後で発行されたとする説があります。
  叶手元祐通宝には、このほかにも「真」、「木」、「一」、「上」、琴柱(ことじ)のような図形、のものがあり、最後の琴柱を「門」字に見立てて、全体で「真木一右ヱ門」という人の名が隠されている、と想像する人もいます。

「真」
「木」
「一」
「上」
琴柱(ことじ)

2007.2.5