人騒がせなレンテン・マルク紙幣

1923年2月1日に発行されたドイツの10万マルク紙幣
表に Reichsbanknote Hunderttausend Mark(ライヒス銀行券 10万マルク) とある
肖像は、16世紀の商人 Georg Gisze
188×114mm

 ◆ 『日刊サン写真新聞』 1957年(昭和32年)12月6日(金)  より


 大金持の夢去りぬ
 人騒がせなレンテン・マルク紙幣

◇さる2日午後3時ころ 江東区深川高橋2の8 職工○○○○さんの妻○○さん(40)が 同区深川森下町2丁目で横文字の紙幣を拾い近くの交番をのぞいたが お巡りさんにはわからず いっしょに都民銀行深川支店へ

◇同支店大久保恒明次長がみるとドイツの10万マルク札 邦貨に換算して約860万円の大金なので”いいお得意さんができた”とばかり 自腹で自動車に乗せて深川警察署に届けた

◇4日になって大久保さん ふと思いつき 東京銀行に問い合わせるとこれが第一次欧州大戦直後のインフレ札レンテン・マルク 紙クズ同様とわかった ”生涯の幸運”を2日あまりで取り逃がした○○さん 持病のゼンソクが再発したとか


 この紙幣は、ドイツ超インフレ時代の1923年2月に発行された10万マルク紙幣で、「パピエル・マルク(Papiermark;紙のマルク)」と呼ばれているものです。
 この超インフレを止めるべく、政府所有の不動産からの収入(Rente;レンテ)を担保にこの年の11月から発行されたのが「レンテン・マルク(Rentenmark)」です。 このときの交換レートは、
    1レンテン・マルク=1000,000,000,000(1兆)パピエル・マルク
でした。 
 そうすると、この10万マルク札は、860万円ではなく、「0.0000086円」になります。
 この新聞記事は、ふたつの「マルク」を混同しているようです。

 「レンテン・マルク」はインフレを収束させ、『レンテン・マルクの奇跡(Wunder der Rentenmark)』と呼ばれました。
 (昭和32年は、フランク永井の「一万三千八百円」の歌が流行した年です。 860万円は、サラリーマン50年分の給料になります。)

2006.10.1