アラビア文字事始
オスマントルコ領エジプト 10キルシュ(ピアストル)銀貨
No | 文字 | 英字表現 | 意 味 |
@ | ١٠ | 10 | 10 |
A | ش | sh | Qirshの略 |
B | ٣٣ | 33 | 在位33年 |
C | ضرب | zuriba | minted |
D | في | fi~ | in |
E | مصر | misr | Misr(エジプトのこと) |
F | ١٢٩٣ | 1293 | 即位1293年 |
オスマントルコ帝国のエジプト総督イスマイル・パシャ(Isma'il Pasha)が発行した10キルシュ(Qirsh,Kurush,Piastre)銀貨です。 エジプトは、AD1811年にオスマントルコより事実上独立し、このころはイギリスに軍事占領されていました。
表側の鳥のような模様は、スルタンの名を美麗に書いた文字で、Tughraと呼ばれます。 日本の花押に似ています。 その下に小さく、額面の「10 Qirsh」が書かれています。
裏側には上から順に、「在位33年」、「エジプトにて発行」、「即位1293年」と書かれています。 AH1293(AD1876)年に即位したAbd-al-Hamid II の在位33年=AH1325(AD1907)年にカイロにて製造したことを意味しています。
アラビア文字は、30個くらいのアルファベットです。 基本的には子音だけで、母音に相当するものはありません。 独立して1字だけ書くときと、単語の先頭・中間・最後に書くときでそれぞれ字形が微妙に変化します。 コインに書かれるときは、それらがデザイナーによって美麗に装飾されます。
文字は右から左に書きます。 数字だけは左から右へ書いているようにみえますが、アラビア語では「23」のことを「にじゅう・さん」ではなく、「さん・にじゅう」と読みますから、やはり右から左に書いていることになります。
22.6mm 13.6g(規定では14.0g、銀品位833)
参考資料:
本田孝一ほか、「アラビア文字を書いてみよう読んでみよう」、白水社、1999
R.Plant, " Arabic Coins and how to read them ", Seaby, 1973
" Standard Catalog of WORLD COINS ", krause publications
M.Mitchiner, " Original Coins and Thier Values - THE WORLD OF ISLAM ", Hawkins Publications, 1977
アラビア語ちゃんねる
2006.8.16