タキシラ(Taxila)
ビールマウンド(BhirMound)遺跡
紀元前6〜前2世紀のタキシラ最古の都市遺跡
(Wikimedia Commons より)
タキシラは、世界遺産に登録されているパキスタン北部の古代都市遺跡です。 首都イスラマバードの西方20キロくらいのところにあります。
ガンダーラの中心都市として、また東西交通の要衝の地として約1000年間栄えたところです。
この地で発行されたコインには、特有のシンボルマークがあります。
1/8サタマナ銀貨 前6〜前5世紀 1.4g 10〜17mm
タキシラが歴史に登場するのは、紀元前518年ころにアケメネス朝ペルシャがこの地を征服し、「ガンダーラ州」を置いたときです。
右のコインは、このころの地方政権が発行したものです。 丸く曲げられているので、ベントバー銀貨と呼ばれています。 重さはこの地方の基準のサタマナ(約11g)の8分の1です。 雪の結晶のようなシンボルマークです。
カルシャパナ銀貨 前4〜前3世紀 3.5g 15〜16mm
前326年、アレクサンドロス大王がペルシャを滅ぼしましたが、数年で没し、前321年ころにはマウリア王朝の支配を受けるようになりました。
右のコインは、マウリア王朝の発行したカルシャパナ銀貨です。 表面にはたくさんのマウリア王朝のマーク、裏面にタキシラのマークが刻印されています。 タキシラのマークは、月と日でしょうか。
紀元前4世紀後半のアレクサンドロス帝国とマウリヤ王朝
(吉川弘文館「世界史地図」より)
サタマナ銅貨 前2世紀 12.1g 17〜21mm 厚さ6mm
その後、前185年ころから、アレクサンドロス大王の武将だったギリシャ人の支配を受けます。「インド・グリーク」と呼ばれています。
右のコインはこのころのものです。 インドとギリシャ文化の融合したいわゆるガンダーラ風のデザインになっています。
表と裏の動物はライオンのようです。 どちらにも小さなマークがあります。 ”3つの丘”と呼ばれています。
その後、スキタイ人、クシャナ族などの侵略を受けながらも、東西交通の要衝として栄えていましたが、紀元5世紀にエフタル人によりこの町は破壊されました。
参考文献:
平野伸二、「古代インドの打刻印貨幣と土着の貨幣」、『収集』2003年3月号
平野伸二、「ガンダーラのベントバーについて」、『収集』2007年2月号
2011.6.10