古代ヨーロッパの神々

  ヨーロッパの最初のコインは、紀元前7世紀に小アジアの西部にあったリディアが発行したエレクトロン貨(金と銀の自然合金)と言われています。 その後、ギリシャ、ローマ世界など、地中海一帯にいろいろなタイプのコインが作られました。 
  当初は銀貨が中心でしたが、紀元前4世紀ころから銅貨も作られるようになりました。 この点、東洋が青銅貨中心だったことと対照的です。 銀貨が中心ということは、日々の生活のためではなく、貿易や軍事用のためであったと思われます。
  初期のコインの多くは、神や動物が描かれていました。 ここでは、神を描いたコインを少し紹介します。
  (このページの画像の縮尺は一定ではありません)


アテネ テトラドラクマ(4ドラクマ)銀貨 BC.449-413
表 : アテナ女神。知恵、学芸、戦争の女神。
裏 : フクロウ、左上にオリーブの小枝と三日月、右にAΘE(Atheアテナイ人のために)。
前6世紀後半〜前1世紀の間、ヨーロッパとアジア(現在の小アジア)の経済を支配した『ふくろう銀貨』です。
当時の労働者の1日分の賃金は1ドラクマくらいだったそうです。
23.5mm 16.4g

アレクサンドロス帝国 テトラドラクマ(4ドラクマ)銀貨 BC.310-309
表 : 若きヘラクレス(ライオンの頭皮を被っている)。
精悍な顔立ちは、アレクサンドロス大王自身がモデルになっているようです。
裏 : ゼウス(右手に鷲、左手に笏杖)、右横に縦にAΛEΞANΔPOY(Alexandrou アレクサンドロスの)。
アレクサンドロス大王(在位BC336-323)は、帝国全体で大量の貨幣を鋳造しましたが、大王の死後も同じタイプで長く造られ続きました。
掲載のコインは、裏面の小さな刻印から、大王の没後にフェニキアのAkeで作成されたものと判明しています。
大王の後継者争いが始まったころです。
27.9mm 16.83g

ロードス ヘミドラクマ(1/2ドラクマ)銀貨 BC.167-88
表 : ヘリオス神。ギリシャ神話の太陽神。
裏 : バラ、左下に杖(Caduceus)、バラの両側にPO、上部にANTAIOΣ。
ロードス島にはギリシャ人の都市国家がありました。
バラのことをギリシャ語でロードスという語呂合わせで、デザインに選ばれたそうです。
13.2mm 1.44g

カルタゴ 単位不明の銅貨 BC.241ころ-146
表 : タニット女神(髪飾りは麦の穂)。
タニットはギリシャ神話のペルセフォーネに相当します。女神の顔立ちは、現代の貴婦人を思わせます。
裏 : ヤシの木の前に立つ馬
第二ポエニ戦争(BC218-201)〜第三ポエニ戦争(BC149-146)ころのコインです。第三ポエニ戦争でカルタゴは滅亡しました。
15.7mm 2.20g

ローマ共和国 1デナリウス銀貨 BC.130
表 : ローマ女神。QMETEの組み合わせ文字。
裏 : 4頭立て戦車に乗るユピテル。下部にROMA。
カルタゴを滅ぼした直後のコインです。 女神の表情は、アテネのコインに良く似ています。
18〜19mm 3.90g
ローマ共和国 1デナリウス銀貨
表 : アポロ神
裏 : 4頭立て戦車に乗るミネルバ
何ともはや、美男におわすアポロ神かな・・・。ミネルバの乗る戦車の躍動感も素晴らしいものです。
17.5〜19.0mm 3.9g
アミッソス 単位不明の銅貨 紀元前2〜1世紀
表 : ゴルゴン 周囲は神の楯(アエギス)。
裏 : ニケの立像。左右にAMI、ΣOY
神様は美男美女ばかりではありませんでした。何とも奇怪な顔つきです。 アミッソスは黒海の南岸にあったギリシャ人の植民都市です。
19.4mm 9.0g


2001.7.8 2002.2.10改訂 2003.3.15改訂 2003.5.11改訂