世界最古の貨幣 − 貝貨

  殷王朝(紀元前1600年〜1046年)の時代に子安貝(宝貝)が貨幣として使用され始めました。子安貝は沖縄、ベトナム、モルディブなどでしか採れません。希少性と豊産を示すような形状などから宝物として珍重されました。丈夫で保存性にいいことも受けたのでしょう。
  貨幣として使われた証しに、西周時代の金文にしばしば登場します。
  右の青銅器は東京国立博物館に展示されている「剛却尊」と呼ばれるもので、紀元前11〜10世紀のものとされています。この器の内底に、
  『剛却という人物が王の出征時に宝貝を賜った。その貝を資金として、先祖を祭るこの器を作った。』
と書かれています。内底中央部に「貝朋用」の文字が読めます。 「朋」は貝10枚と言われています。
  もう一つの証しに、現在の漢字にも「貝」は、財、貯、販、貨、貿、買、貸、費、貴、貧 など経済に関わる文字に使われています。 「賄賂」!・・・この頃からあったのでしょう。


原貝貨

子安貝(宝貝)です。 裏面はていねいに削り取っています。
21.1mm 2.0g , 16.3mm 1.1g
淡水加工円形貝貨

河で採れた貝を加工したものです。
24.9mm 5.3g
石製模倣貝貨

石で模倣した貝貨です。
26.1mm 4.5g
石製模倣貝貨(緑石)

これも石で模倣した貝貨ですが、緑色の石です。
25.1mm 3.4g
青銅製模倣貝貨

西周(BC1046〜BC771)後期に貝貨の模倣貨として鋳造されました。
これが貨幣として使用されたとすると、世界最古の鋳造貨幣ということになります。
21.3mm 1.6g
包金青銅製模倣貝貨

銅に金をのせる技法としては、「鍍金」(金を水銀に溶かしそれを銅の表面に塗り、火であぶると水銀が蒸発し金メッキした状態になる)と、「包金」(薄い金箔を貼り付ける)の二つが知られていました。
22.8mm 1.5g


  これらの他、骨、土、鉛、玉(ぎょく)などで作られたものがあります。いずれも、貨幣として使用されたというより、装飾用または埋葬用だったと考えています。


参考文献
  @白川静、「金文の世界.殷周社会史」、平凡社東洋文庫、1971



      海上の道


2001.7.8  2002.10.26改訂  2008.12.12改訂