紙のコインと土のコイン

  戦争などで貨幣の材料となる金属素材が払底すると、それに替わる素材で発行せざるを得ませんでした。   


  ● ロシア 1916〜17年
  第一次世界大戦の末期のロシア帝国です。
  表には当時流通していた切手のデザインをそのまま印刷しています。ニコライ2世の肖像です。
  裏には、貨幣として通用する旨の文書が記載されています。
  1917年3月、ロシア革命でニコライ2世は退位させられました。


  ● ドイツ 1921年
  第一次世界大戦後の物凄いインフレに苦しんでいたころのドイツのコインです。
  この当時、実に多種多量の陶器製の貨幣が発行されました。
  マイセンなどの有名な産地でも製造されています。
  3.1g 23.4mm


  ● スペイン 1938年
  スペインにフランコ政権が誕生したのは1936年です。
  切手を革に貼り付けています。
  デザインはスペインのコインによく用いられたもので、中央に王冠と王家の紋章、左右にヘラクレスの柱です。


  ● 日本 1945年
  日本でも第二次世界大戦の末期、陶器の貨幣の発行が計画され、見本銭が作成されました。
  10銭−京都(清水焼)、5銭−瀬戸、1銭−有田 の3種です。
  発行直前に終戦となり、実際には通用されることはありませんでした。
  0.9g 14.7mm


  ● ドイツ 1922年
  ドイツ北部の工業都市ビーレフェルトで発行された絹の紙幣です。
  117×80mm






  変った金属素材のものを幾つか紹介します。

● ドイツ クレフェルド 1919年 亜鉛製


3.5g 22.3mm
● ドイツ ボン 1920年 鉄製

ベートーベンの肖像です。
4.8g 23.7mm
● 日本(ジャワ) 1943年 錫製

戦時中ジャワでの通用のため製造しましたが、輸送困難で実際の通用には至らなかったものです。
10銭とも10セントとも言われています。
表面の図は、ジャワの古典影絵「ワヤン」の登場人物「アルジナ」。
1.05g 22mm 錫930亜鉛70の合金。(この頃、日本国内でも錫貨が発行されています)
● 満州 1944年 マグネサイト製


1.0g 19.3mm


  このほか、戦争中に軍隊などが一時的に使用した代用コインにも、変った素材のものがあります。 いずれも、第二次世界大戦末期のものです。

● イギリス軍 ファイバー(繊維)製

イギリス軍のNAAFI(厚生機関)がフランスで発行したもの。軍の売店で使われたもので、価は2分の1フランです。
1.0g 23.9mm
● アメリカ空軍 プラスティック製

カリフォルニア州にあるAFB(アメリカ空軍基地)での酒保銭です。価は5セント。
0.7g 22.4mm

● アメリカ捕虜収容所 樹脂製

オレゴン州のPOW(捕虜収容所)で発行したもの。価は5セント。
0.7g 21.0mm



2004.1.24  2004.2.22 Update  2006.10.6 絹の紙幣追加